2015年9月17日木曜日

【イベント行ってきた】里山十帖に学ぶサステナブルなビジネスの創り方



ずっと前から泊まってみたいと思っていた、里山十帖について岩佐編集長自身が語っていただけるということと、NewsPicksの佐々木編集長とのクロストークもあるということで、参加してきました。その中から興味深かった内容を記載します。




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GOOD DESIGN BEST 100とその未来 vol.6

里山十帖に学ぶサステナブルなビジネスの創り方

- デザイン的思考と共創のストーリー戦略 -

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プログラムはこんな感じ。

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17:00 オープニングトーク

17:15 「里山十帖で実践するデザイン的思考、共創ストーリー」

株式会社自遊人
代表取締役・クリエイティブ・ディレクター
里山十帖 クリエイティブ・ディレクター兼オーナー
岩佐 十良氏

17:45 クロストーク「イノベーティブでサステナブルなビジネスの創り方」」

岩佐 十良氏
株式会社ユーザベース「NewsPicks」編集長 執行役員
株式会社ニューズピックス 取締役
佐々木 紀彦氏

19:00 ディスカッション&ネットワーキング(僕は業務都合で不参加)

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■ リアルの場が一番のメディア、米一粒がメディア。岩佐さんの経歴


実は岩佐さんのご出身を存じ上げなかったのですが、もともとは武蔵野美術大学のインテリアデザイン専攻⇒デザイン事務所を立ち上げ⇒デザインから編集に鞍替えして、編集プロダクションを立上げ⇒1990年代は「東京1週間」や「東京Walker」の特集記事編集執筆に明け暮れていたんだそうです。もうこのころから、特徴あるお店やスペースを見つけて取材して書いて、というベースが出来上がっていたんですね。

そして、「自遊人」を自ら立ち上げられ、3,000軒の宿を取材しているうちに「リアルの場が一番のメディア」と認識するようになったんだそうです。

2000年に雑誌を立ち上げ、2002年に米の物販を始めたそうですが、この時から「米一粒がメディア」と考えており、「この米の良さを伝えたいから始めただけで、雑誌が売れないから物販で稼ごうといった考えではない」といったコメントはなかなかココロに響きました。



■ 徹底したニッチ&高付加価値戦略


岩佐さんが南魚沼に移住し、里山十帖を始められたころの様子を色々話していただきましたが、その中で、「農業」に関するトピックはなかなか興味深かったです。

  • これからの農業は、ペイしていくためには農地集約・大規模化がダイジ
  • でも実際には小規模農家が圧倒的に多く、彼らは専業で食べていけない
  • そこで小規模でもペイするように、各地で作らない伝統野菜に絞って付加価値をつける
  • もうひとつ、若手専業農家をどうモチベーション維持させるかもダイジ
  • 彼らの作る伝統野菜をトップランクの価格で高く買い取り、ブランド化し、顧客に提供する


■ 事業計画書は作るが、それは銀行や投資家向けに作るポーズにすぎない

  • みんながやったことがないことをやるのに、事業計画どおり事業が進むわけがない
  • 出してしまったら、それが既成事実となり、コミットしなければならない。同時に3年とか5年は続けなければならなくなる。そうやってズルズルやっていくので会社が倒産するのではないか?
  • もちろん試算表は作る。でもそれ以上うまくいくかどうかは、やってみないと判らないので、銀行や投資家には「これまで、起業家として20年以上やってきた実績を見てください」といってカネを出してもらった。残りは自己資金で賄った
このカネの問題はなかなか強烈で、やはり引き上げた銀行もあったり、本当に苦労があったそうです。トップに掲載した画像の本「里山を創生するデザイン的思考」に書かれているそうなので、読んでみようと思います。

メリットを考えるよりもまずやってみることがダイジでしょ、やったら何かが起こるはず。そこに対する結果検証をきちんとすることがダイジだというコメントはかなりグサッときました。



■ ニッチ戦略ならではのペルソナづくりと、企画のスクラップ&ビルド


自分の中に生成された、複数の人格から、「あるべき人格」を抜き取って、この価値観を同時に走らせながら、共通する価値=共感ポイントを見つけていく、とおっしゃっていました。この人格像は実際に自分の友人から拝借してきたるすることもあるそうです。
  • ペルソナづくりでは、徹底した絞り込みと同時に、その絞り込んだペルソナの関係者まわりのことまで考え、「パイをどこにするか?」を考える
  • マーケティング調査はしない。定性的に数人(3人程度)を選び、一旦主観は殺して妄想する

一方、企画を立てる上ではこんなことをしているという話。

  • 統計データは最新でリリースされても、すでに「古い」。3年前のデータは使えない。
  • それよりも風が変わる瞬間を読めるか?既存のビジネスモデルを壊すことを恐れない
  • 情報は取りすぎない。今やFacebookの友人情報と町の情報で十分。新聞も雑誌もTVも見ない
  • 震災時、情報を取りすぎて、何が本当かわからなくなった。思考する時間がなくなり、自分の意見なのか、他人の意見なのか、判らなくなってしまったことがきっかけ。考える時間をとるほうがダイジ


■ 狙いは共感マーケティング、共感の連鎖。徹底したニッチ戦略との整合性

岩佐さんの発表スライドを一部改編、清書

岩佐さんの考えの全てが、この図に凝縮されているなと思います。
この図にあたる都会旅民こそが、彼のターゲットとした共感マーケティングに乗ってくれる、情報・消費感度の高い人たちといえます。
結果、里山十帖はオープン1年3か月で高稼働率を続け、ここ2ヶ月くらいは12室はずっと満室だったんだそうです。


結局情報感度の高い人は、最早マスメディアでは響かず、ソーシャルや人を経由しないことには響かない。この現状を打ち破ってくれるのが、共感を呼ぶ物語性であり、「あの人が良いというなら、ちょっとチェックしてみるか」という共感マーケティングにつながっていくんだなと感じたのでした。そして、ニッチ戦略である以上、高付加価値に徹して、その他のターゲットをバッサリを斬り捨てている。雑誌のターゲットをそのまま移植しており、その整合性や勇気がすごいとも思いました。


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その他にも、色々面白い話が聴けました。
  • もともと新潟は古民家がいっぱいあったが、暗い・寒いといった課題があり、その価値を見いだせず、どんどん処分してしまった
  • 処分したものの一部が湯布院や別府に運び込まれ、伝統的な雰囲気が移植された
  • もともと太い梁は豪雪を支えるために必要なものであり、九州のような温暖地帯では必要ない
  • そこで、この暗い・寒いが当たり前の古民家の常識をひっくり返し、エア・サイクリングシステムを導入して冬でも寒くない、畳も歩ける施設にした
  • この暖かさを実感してもらうため、スリッパは導入しないことにした
  • 南魚沼に住んで年収は以前の1/3になった。でも今のほうが全然生活が豊か

などなど。




自遊人、時々読んでいるんですが、益々里山十帖に行ってみたくなったのでした。
岩佐さんは、今後、この里山十帖のようなものを10年で10拠点作りたい、競合参入は市場活性化につながるので大歓迎、なんだとか。


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